リー・ミンウェイとその関係展
あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくおねがいします。
さて、今年最初の美術鑑賞、アートはじめは、
リー・ミンウェイとその関係展です。
実はこの展覧会訪問は2回目だったのですが、
「リレーショナル アート」とやらにメチャクチャはまってしまい
1月4日で閉会してしまうため、元旦早々に再度行ってみました。
(森美術館は改修工事に伴い、1月5日~4月24日まで休館予定です。)
コンセプチュアルアートって、
何を言わんとしているのか解読不能なことが多く(私という受け手の問題)、
マルセル・デュシャンあたりから、
「ん?」って感じて思考停止になることが結構あります。
なので、1990年代後半から注目されている
リレーショナル・アートのような観客参加型のプロジェクトは
多分、理解不能だと思っていたのでした。
目に見えない、複雑な「関係性」の変化が芸術だ、
って言われても分からない、と思っていたのでしたが
アーティストのリー・ミンウェイが作品に関する解説を
ビデオ映像で丁寧に説明してくれるので、
抽象的な概念についてもすっと理解できたのです。
こちらは、<ひろがる花園>という作品です。
観客は、ギャラリー内に展示されているガーベラの生花を手に取り、
来た時と違う道を選んで帰る途中、見知らぬ誰かにその花を贈る、というもの。
リーから送られた花のギフトを、観客それぞれが未知の誰かに再び贈与することで、
新しいギフトの連鎖が街中に広がることを作品としています。
はい、訳分からないですよね。
リーが表現していることとは異なっているのかも知れませんが、
展覧会の中盤に位置されているこの作品を見た時に、
ああ、わたしの仕事も同じだ。
と直感的に思ったのです。
川から流れてきた花からインスピレーションを受けて
リーはこの作品を創作しましたが、
インターネット上に溢れる賃貸住宅(物件)が、
私にとっての「花」になるのだと思ったのです。
投資用賃貸住宅って、経済的価値・物質的価値を持つ
無個性な単なる「箱」です。
ここに、私が介在することで、
不動産オーナーの個性や住宅に対する愛着を表現できたのなら、
この部屋を選んで住んでくれた入居者の新しい暮らしや
入居者の記憶に残る空間にすることができたのなら、
単なる「箱」が、人との関係性をを変える「花」になる。
「箱」を媒介として、
不動産オーナーと賃貸物件の関係(「箱」でなく「暮らしを編む空間へ」)
不動産オーナーと私との関係(経済的価値の「箱」から精神的価値への転換に至る気付き)
不動産オーナーと入居者の関係(「家賃を払う人」から「空間を共有する同志」へ)
そして、
「賃貸住宅」を「社会的公器としての資源」へと
社会につなげていくものにできるのではないか、と思ったのです。
不動産オーナーが誰にリノベーションを依頼するかによって、
どのようなリノベーションを行うかによって、
この「箱」を誰が選ぶかによって、
不動産オーナーが誰に「箱」を貸すかによって、
大げさにいえば、
それぞれがどれを選ぶかによって
関わった人達だけでなく、その周辺エリアの運命も大きく変わると思うのです。
それぞれの選択が、
相互作用を起こし化学反応を起こすのではないか
想像をしなかった結果を生み出すのではないか。
そんな私の仕事は、創作活動であるべきではないのか。
想像を超えたものを生み出すことができるんじゃないのか。
。。。とまあ、
ちょっと壮大なことを思ってしまったのですが、
社会資産である賃貸住宅を
社会とつなげて、社会に開いていくって
メチャクチャおもしろいことができる可能性があるんだ!
と感じたのでありました。
相当変な美術鑑賞備忘録。
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